宙と生活

百人一首に月の歌が十二首もあることは偶然ではない…そんな気がした秋でした。「第一回 宙短歌コンテスト」 

【宙と生活編集部】

「宙フェス」会場の開催地「法輪寺」がある嵯峨嵐山は、藤原定家が「小倉百人一首」を編纂した場所として知られています。

未来の人たちがかるた遊びを「競技かるた」と称して、札をバンバン取り合うイメージはなかったと思いますが、もしかすると、藤原定家は多くの人々が宙に思いをはせるイメージはしていたかもしれません。

小倉百人一首の中に月を詠んだ歌を十二首も入れ込んだことは偶然ではない…そんな気がするのです。

嵐山で開催している宙フェスでは、これまで歌人の天野慶さんをお迎えして「宙短歌ワークショップ」を開催するなど、「宙フェス」らしく短歌と向き合ってきました。

今年の「宙フェス」では各地に投稿箱を用意して宙短歌を募集し、会場で応募作品を展示することに挑戦。新しい参加型イベントとしてのかたちを模索しました。

それだけで終わらせるのはもったいないということで、今回の「宙と生活」では、力作ぞろいの応募作品の中から十首を紹介するとともに、「宙と生活」編集部で大賞を決めさせていただきました。

思い出の写真とともにお楽しみください。


宙フェス2018「宙短歌コンテスト」大賞

たくさんの 人の願いを受け入れて
今宵も空に浮かぶ月かな
PN:美紅
                

人の願いや想いを投影して、輝きや模様まで変化するように見える月。優しく笑いかけてくれたり、時には冷たく見えたり…と、月が見せる多彩な表情は、私達に何かを語りかけているようにも思えて、つい人は答えを求める様に月を見上げてしまうのかもしれません。この歌を読んでそんなことを思いました。宙フェスのイベントのイメージによく合っていると思います。宙フェス開催日は中秋の名月。「お月様、ありがとう」と言いたくなるような満月が浮かんでいました。

 

宙フェス2018宙短歌コンテスト」次点

かえり道 いつもと違うあなたの背中
月が見ている わたしも見てる
PN:Io

よく知っているはずの人が、何かの拍子に別人に見えることがあります。恋人や親しい人の背中がまるで知らない人のように見えるのは、少し悲しい気分かもしれませんし、知らない一面を垣間見てドキドキするなんて人もいるかもしれません。「月と私、二人だけが知っている秘密」という共犯めいた歌の雰囲気が神秘を感じさせて素敵な歌だと思いました。宙フェスの帰り道がこんな風だったら、スタッフ冥利に尽きます。

 

宙フェス2018「宙短歌コンテスト」宙トモ賞

中秋の 宙の導き人集う
宙トモ広がり ツキ満ちる
PN:愛知の上皇

天文ファンの方の中には、宙フェスを「オフ会」と呼んで集まってくださる方もいるようですね!!ぜひ、宙フェス会場で宙トモを沢山作ってくださいね。宙友の輪、どんどん広げていきましょう!

 

入選作

流れ行く 雲のさざ波かき分けて 今宵の月を誰と浮かべる (PN:じあ)

おぼろ月 雲の彼方の輪郭に 重ね合わせる夢は幻 (PN:ぷらね太郎)

お空にね たくさんいるようさぎさん おもちをついて 元気いっぱい (PN:さんねんせい)

つきはたのしい つきはたのしい (PN:わたる)

こんばんは 今宵もそっとこんばんは 月夜に映る あなたの背中 (PN:Io)

上を向いて遊ぼう 今日の名月は ちきゅうすくった うれしいいちにち (PN:さわだひかる)

望遠鏡 今年ものぞく月求め くもの合間に のぞく名月 (PN:Kana)

 

以上、「第一回 宙短歌コンテスト」でした。
心得のありそうな方から、想いたっぷりな方まで沢山の応募ありがとうございました。

平安時代に百人一首を編纂した嵐山で、天体望遠鏡という機材で月を見ながら短歌を詠む面白さ。

これからもコンテストを継続できたら嬉しいです。


テキスト:KARAKUSADO
写真:酒井修平