宙と生活

「宇宙によりみち」~ 星空写真家が紹介する、9月に見たい星空3選~

星空写真家の成澤広幸です。今回も9月の気になる星空情報を3つご紹介します!

宇宙へのよりみちは、どこからでも始められるのがよいところ。
今、あなたのいるその場所から、よりみちを始めてみませんか。

9月の星空情報その①
夏の終わりを告げるさそり座と
冬を代表するオリオン座の交代劇

9月ですが、まだまだ暑いですね!
でも夜空ではもう、すこしづつ秋の訪れが始まっています。
星の綺麗な山間では昼と夜の寒暖差が大きいシーズンですから、星空観測の際には決して油断せずにダウンジャケットなど、羽織るものを用意して…さあ、天体観測へでかけましょう!

星空写真家の私にとって、夏の終わりとは夏を象徴する星座「さそり座が沈む」こと。
この時期はデネヴ・ベガ・アルタイルの夏の大三角がまだまだ楽しめるシーズンなので「まだ星空もしっかり夏じゃん!」と思ってしまうのですが、
さそり座が沈んでしまうのを見ると、「あーもう夏も終わりだなー」とどこか寂しい気持ちになるのです。
さそり座

そして西の空にさそり座が沈むと、日を跨いだ頃に、反対の東の空から冬を代表する星座・オリオン座が昇ってきます。
ギリシャ神話では、さそりの猛毒で死んでしまうオリオン。
今でもさそり座が怖いのか、さそり座が沈むのを待っていたかのようにオリオン座が顔を出してきます。
オリオン座


さよならさそり座。ひさしぶりだねオリオン座。そんな星座たちの交代劇を楽しんでいただけるのがちょうど今の季節。
さそり座に夏の終わりを感じたり、遅くまで起きた夜は東の空低くに浮かぶオリオン座を探したり…季節の変化を夜空で感じてみてください!

9月の星空情報その②
夏の天の川と冬の天の川が
同じ日に楽しめる贅沢なシーズン!!

さそり座が沈んでしまっても、夏の大三角はまだまだ元気いっぱい!秋になっても大きな存在感とともに夜空に鎮座しています。

夏の大三角沿いには天の川がありますから、夏の天の川もまだまだ楽しめます。
天の川は私たちが住む太陽系・そして地球を一周していますから、夏の大三角を通る天の川ロードはそのまま秋の星座~冬の星座へとつながっていくのです。
夜半過ぎになるとオリオン座が昇ってきますが、オリオン座の隣にはびっしりと微光星が集まった冬の天の川が!
9月になると、夜半過ぎは夏の天の川、夜半を過ぎると冬の天の川が楽しめるんです。
夏と冬、両方の
天の川が楽しめる貴重なシーズンですから、ぜひそのあたりも見逃さないようにしてください。

夏の天の川
冬の天の川

9月の星空情報 その③
秋に重なる2つの神秘。
黄道光と天の川が夜明け前に十字を描く。

黄道とは太陽が通るルートのこと。黄道沿いの宇宙のちりが太陽光に反射して拡散し、地球からは帯状の光として観測できる。この光のことを黄道光と呼び、春と秋は黄道が地平線に対して垂直になるので、観測しやすくなるのです。
黄道光は「月の出ていない時間帯」「日の出時刻一時間前」に観測できます。そして秋はこの黄道光と冬の天の川がクロスする絶好のシーズン!!黄道光と天の川の「X」が明け方の夜空を彩ります。

新月となる9月17日~下旬までが黄道光が観測できる時間と月明りがかぶらないタイミングです、この時期だけの共演を要チェック!!!

黄道とは太陽が通るルートのこと

黄道光と冬の天の川がクロスした美しい瞬間!

いかがでしたか?
今月のよりみちの準備はできましたか。
美しい宙、カワイイ宙、気楽に楽しみましょう。

END

成澤広幸プロフィール

1980年5月31日生まれ。北海道留萌市出身。星空写真家・タイムラプスフォトグラファー・映像作家。 公益社団法人日本写真家協会(JPS)正会員。
オーストラリアで撮影された「はやぶさの帰還」の星景写真に衝撃を受け、本格的な星景写真・天体写真・タイムラプス撮影に傾倒していく。
写真スタジオ、天体望遠鏡メーカーでの勤務の後、2020年4月に独立。 全国各地のカメラ専門店・量販店で星空撮影セミナーを多数開催。カメラ雑誌・webマガジンなどで連載を担当。
ミュージシャンとしての一面も持ち、自身のタイムラプスムービー作品には自らが作曲・演奏・制作した音楽で動画を演出している。
Youtubeでの活動を本格的にスタートし、星空撮影・タイムラプス撮影、天文情報など、さまざまな情報発信に努めている。
2018年12月に著書「成澤広幸の星空撮影塾」、2019年11月に監修「成澤広幸の星空撮影地105選」を出版。

Youtubeチャンネル:Hiroyuki Narisawa Timelapse Film
成澤広幸 HP:https://www.hiroyukinarisawa-photography.com/


テキスト:成澤広幸&KARAKUSADO
写真:成澤広幸