宙と生活

「宇宙によりみち」~ 星空写真家が紹介する、7月に見たい星空3選~

星空写真家の成澤広幸です。

先月より連載が始まった「宇宙によりみち」。今回は7月の気になる星空情報を3つご紹介します!

宇宙へのよりみちは、どこからでも始められるのがよいところ。
今、あなたのいるその場所から、よりみちを始めてみませんか。

7月の星空情報その①
2020年の夏空は木星・土星・火星がアツい!

夏空を彩る、惑星のきらめきを探して

夜が始まると南東~南の方角に明るい星がふたつ、輝き始めます。
一番明るい星が木星。そしてその左にあるのが土星。木星の右にもうひとつ赤い星が見えたら・・・それはさそり座のアンタレスです。
惑星は「惑わす星」の文字通り、常に動いてその位置を変えます。木星と土星が天の川の左側で輝いていますが、これは2020年夏の星空の特徴で、写真を撮るとこんな感じになります。

ちなみに、この惑星の並び方は今年だけの構図で、星に詳しい人が見ればいつ撮ったのかわかってしまうくらい特徴的。
今年は人気の惑星である「木星」「土星」「火星」がどれもとても観測しやすいので、惑星ごとに楽しみ方をご紹介したいと思います。

木星の楽しみ方
みなさんは、木星というと何を思い浮かべますか?
「ダブルゼータガンダムでジュドーとルーが旅立つ惑星だよな…」
なんてヲタクなことを考えるのは私だけでしょうか…。
6~8倍くらいの双眼鏡で見ると、明るく輝く木星とその周囲を公転する4大衛星の姿が見えます。衛星の位置はその都度変わるので、毎日見ても面白い。
また倍率50倍くらいの天体望遠鏡を使えば木星の縞模様が見えるので、非常に見ごたえのある惑星です。月と地球の距離が遠ざかったり近づいたりするように、木星と地球の距離も変化していますが、2020年は木星との距離が近く、通常よりも大きく見える時期。明るく見つけやすいので、ぜひこの機会に見てください!

土星の楽しみ方
次に、誰もが一度は見てみたいと願う惑星界のアイドル、土星の「どっちゃん」。
天体望遠鏡を使えば50倍程度から特徴的な環(わ)が見えてきますが、見た瞬間「かわいい!」と叫んでしまう女性も多い惑星です。
木星と同じく、土星も地球との距離が常に変化していますが、それより観測に大事なのは環(わ)の角度!実は、土星の環はどんどん傾きを変えており、2024年には輪が縦方向に傾くため、まるで「くし団子」のように見えてしまいます。普段から土星を見ている人には新鮮ですが、初めて見る土星がくし団子状態だとちょっとがっかりするかも…(笑)。ぜひ土星もこの夏の好機を逃さないようにしてください!!
ちなみに2020年は環が大きく開いている時期なので、150倍以上の天体望遠鏡で見れば、土星と環のすき間まで見えるかもしれません。

火星の楽しみ方
そして2020年は火星中接近の年。いつもより火星が大きく見えるチャンスです!
「あれ?火星ってしょっちゅう接近とか言ってる気がするけど」なんて思ったアナタは、とても鋭い!火星は2年2か月ごとに地球への接近を繰り返すので、近年で火星が「大接近」したのは2018年のこと。2016、2020年は「中接近」の年ですが、地球との距離がほとんど変わらないため、ほぼほぼ「大接近」と言ってもいいくらい。
そして今年以降、火星が同じくらい接近するのは2033年で、なんと13年後になります!この貴重さ…おわかりいただけますでしょうか!
ちなみに2018年の大接近は、火星の高度が低く観測条件として厳しかったことや、火星側で大砂嵐が起こり天気が最悪だったので、クリアに見えずあまり楽しむことができませんでした。
それに対して2020年は高度が高く大砂嵐も発生しないということ。
最接近は10月6日ですが、7月から急に大きくなり始めるので、今月から観測をスタートしてみるのもオススメです!

7月の星空情報 その②
7/12(日).17(金).26(日)にチャンス到来

惑星と月が魅せる、美しい競演を楽しんで

私が撮影で狙うのは、惑星に月が絡む瞬間。
運よく細い月が並ぶと、それはもううっとりするような光景が広がります。
今年の7月はそのチャンスが3回もありますので、ぜひチェックしてみてください。(表記の時刻は関東の場合)

◆7/12(日):夜半過ぎから明け方まで。東~南東の空で半月くらいの月と火星が並ぶ(月の出 23:22)
◆7/17(金):明け方。東の空でめっちゃ細い月と金星が並ぶ(月の出 1:22)
◆7/26(日):夕方~20:30頃まで。半月くらいの月と春の大曲線(北斗七星・うしかい座アルクトゥルス・おとめ座スピカ)が並ぶ(月の入 22:35)

7月の星空情報 その③
月明かりが少なく流れ星が見えやすい!

7/28はみずがめ座δ(デルタ)流星群が極大に

流星群と言えば、3大流星群(しぶんぎ座流星群、ペルセウス座流星群、ふたご座流星群)が有名ですが、それ以外にも観測が楽しめる流星群があります!
7月のみずがめ座δ(デルタ)流星群は極大日(=一番星が多く流れる日)が7/28(火)で、この日に限らず、前後数日間で流星を楽しむことができます。
流星群の観測にはじゃまな月明りも、この時期は0時前後に沈んでくれますからなかなかの好条件!
ちなみに、みずがめ座δ(デルタ)流星群の放射点となるみずがめ座は土星の左側(東側)に位置しています。ということは…もしかしたら惑星たちと天の川と流星を一枚の写真に収めることができるかも!?

いかがでしたか?
今月のよりみちの準備はできましたか。
美しい宙、カワイイ宙、気楽に楽しみましょう。

END

成澤広幸プロフィール

1980年5月31日生まれ。北海道留萌市出身。星空写真家・タイムラプスフォトグラファー・映像作家。 公益社団法人日本写真家協会(JPS)正会員。
オーストラリアで撮影された「はやぶさの帰還」の星景写真に衝撃を受け、本格的な星景写真・天体写真・タイムラプス撮影に傾倒していく。
写真スタジオ、天体望遠鏡メーカーでの勤務の後、2020年4月に独立。 全国各地のカメラ専門店・量販店で星空撮影セミナーを多数開催。カメラ雑誌・webマガジンなどで連載を担当。
ミュージシャンとしての一面も持ち、自身のタイムラプスムービー作品には自らが作曲・演奏・制作した音楽で動画を演出している。
Youtubeでの活動を本格的にスタートし、星空撮影・タイムラプス撮影、天文情報など、さまざまな情報発信に努めている。
2018年12月に著書「成澤広幸の星空撮影塾」、2019年11月に監修「成澤広幸の星空撮影地105選」を出版。

Youtubeチャンネル:Hiroyuki Narisawa Timelapse Film
成澤広幸 HP:https://www.hiroyukinarisawa-photography.com/


テキスト:成澤広幸&KARAKUSADO
写真:成澤広幸