宙と生活

「宇宙によりみち」~ 星空写真家が紹介する、6月に見たい星空3選~

宙フェスTwitterでの星空写真は楽しんでいただけましたでしょうか。
星空写真家の成澤広幸です。

今月から、私が気になる星空情報を月替わりで3つご紹介させていただくことになりました。

星空写真やタイムラプスを制作をするのはとても時間がかかる作業で、それこそ一晩中、星空と向かい合っています。

そんな時、色々なことを考えます。もちろん、技術的なことも考えますが、ほんとうに色々なことが頭をよぎります。

星座を考えたのは、メソポタミアの羊飼いだそうですが、星の並びが動物や英雄に見える気持ちもちょっと分かる気が…生活や仕事のことを忘れて、宇宙によりみちするような、そんな感覚を味わっていたのかもしれませんね。

宇宙へのよりみちは、どこからでも始められるのがよいところ。
今、あなたのいるその場所から、よりみちを始めてみませんか。

6月の星空情報その①
関東だと3時前:「天文薄明」に微かな時差を感じて

夜明けとは少し違う、「天文薄明」の刹那の美しさ

一年で最も昼間が長いシーズンに入りました。昼間が長いということはそれだけ夜が短くなっているということ。ちなみに夏至は一年で一番昼間の時間が長くなる日のことで、2020年は6月21日がその日にあたります。

この時期は21時くらいから6時間程度しか星空の撮影ができませんので、星空写真家としては活動時間が短くて結構大変…。あと大好きな夕焼けの撮影時刻が夜ご飯の時間と重なるので、家庭の事情的にもちょっときまずかったりします、笑。

6月はそんな風に夜が次第に短くなっていくのですが、朝焼け前の、まだ星が見えながらも空が薄っすらと明るくなる時間のことを指す「天文薄明」(てんもんはくめい)という言葉があります。

太陽が沈んでから空が暗くなるまでの間と、空が明るくなり始めてから太陽が昇るまでの間の空の状態を「薄明」と表現するのですが、「天文薄明」は星を観測する場合のみに使われる言葉。星を観測するためだけの時間を現す言葉があるなんて贅沢で、とても風情がありますね。

6月の関東だと3時前ですが、私の故郷・北海道留萌市だと1時30分くらいにもう明るくなってくる(笑)。最初に撮影したときは「もう⁉朝?」とびっくりしたことを憶えています。

日本国内でも「時差」を体験できる貴重な時期だなと思いますので、夜更かし派の人も、早起き派の人も、束の間の「天文薄明」の空の美しさを味わってみてはいかがでしょうか?

撮影地:東伊豆

6月の星空情報 その②
6/21 
部分日食を観測してみよう!

6/21は台湾で金環日食が、日本で部分日食が!

台湾で金環日食が、日本で部分日食が起こります!
日食とは、月が太陽の前を横切ることで、月によって太陽の一部、または全部が隠される現象です。地球のどの位置から見ているかでかける部分が変わります。

今回、台湾で見られる金環日食は、太陽の内側に月がすっぽりと重なって、リング状に光が見える神秘的な現象のことです。

日本では全国で部分日食を観測することができるので、観測してみてはいかがでしょうか?
☝日本で起こる日食(最大食)はこんな感じ

■東京&大阪では17時10分頃が最大

部分日食は東京ならだいたい16時11分頃からスタートし、じわじわと欠けていくのが観測できます。食の最大時刻は札幌で17時01分、東京・大阪で17時10分、那覇で17時17分です。

日食が起こる日の太陽は北北西の方角で、高度は20度くらいの割と低い場所にあります。観測してみたい方は、北西西の方角に大きな建物などがないかを事前に確認しておきましょう。

また太陽を裸眼で見ることはとても危険!
必ず、日食グラスを使用して観測するようにしてください。


天体望遠鏡で観測するときは太陽投影板を使って観察すると大勢でわいわい楽しめますし、太陽黒点が見えることも!
☝太陽投影機にうつった太陽 左下が欠けているのが分かります

ちなみに日食が起こる日=新月なので、晴れていれば月明かりに妨げられることがない美しい星空が観られるかもしれません!ぜひ日食の夜には星空も楽しんで!

日本では次に見られる日食は2030年6月1日でだいぶ先になります。貴重な今回のチャンスをお見逃しなく!

6月の星空情報 その③
天の川に住んでいるバンビを探してみよう!

暗い空なら肉眼でも双眼鏡でも探せる天の川のバンビ。

私たちが住む地球は、天の川銀河の中に存在しているそうです。
そんな天の川銀河の中には「グレートスタークラウド」と呼ばれる、濃淡の濃い「中心部」があります。その領域はとても写真写りが良いので、この時期、星空を撮影する人たちにもとても人気。

実はその中に「バンビの横顔」と呼ばれる、小鹿が横を向いてるように見える場所があるのをご存知でしょうか?

暗い空であれば、肉眼や低倍率の双眼鏡でもうっすらとバンビちゃんのシルエットが見えますから、ぜひ探してみてください。

みなさんにもバンビちゃんが見つけられますか・・・?

いかがでしたか?
今月のよりみちの準備はできましたか。
美しい宙、カワイイ宙、気楽に楽しみましょう。

END

成澤広幸プロフィール

1980年5月31日生まれ。北海道留萌市出身。星空写真家・タイムラプスフォトグラファー・映像作家。 公益社団法人日本写真家協会(JPS)正会員。
オーストラリアで撮影された「はやぶさの帰還」の星景写真に衝撃を受け、本格的な星景写真・天体写真・タイムラプス撮影に傾倒していく。
写真スタジオ、天体望遠鏡メーカーでの勤務の後、2020年4月に独立。 全国各地のカメラ専門店・量販店で星空撮影セミナーを多数開催。カメラ雑誌・webマガジンなどで連載を担当。
ミュージシャンとしての一面も持ち、自身のタイムラプスムービー作品には自らが作曲・演奏・制作した音楽で動画を演出している。
Youtubeでの活動を本格的にスタートし、星空撮影・タイムラプス撮影、天文情報など、さまざまな情報発信に努めている。
2018年12月に著書「成澤広幸の星空撮影塾」、2019年11月に監修「成澤広幸の星空撮影地105選」を出版。

Youtubeチャンネル:Hiroyuki Narisawa Timelapse Film
成澤広幸 HP:https://www.hiroyukinarisawa-photography.com/


テキスト:成澤広幸&KARAKUSADO
写真:成澤広幸